吉田労務通信vol.20
新年度は、消費税8%への増税でスタートしました。今後、経済動向が以前の消費税の
増税時と同様に停滞しないことを祈りたいです。また、世界情勢も、尖閣、竹島の問題や
ウクライナの問題、FRB議長の交代に伴う声明等、昨年から政治、経済ともに緊迫した状
態が続いております。
そのような中、日本では、アベノミクス効果の評価がなされておりますが、皆様方の感触
はいかがなものでしょうか?
一部企業では、何年かぶりにベアが復活したという記事が新聞紙面で賑わっておりますが、
中小企業に目を向けると、その利益が労働者の賃金に反映するまでには、あと1,2年はか
かるのでないかと感じます。
さて、今年度も昨年度に引き続き、雇用管理に関し重要な意味をもつ一年になりそうです。
それは、今開催中の通常国会において、雇用に関する改正法案が多数出されています。
全てが成立ということになれば、当然、企業も目先の対応だけではなく、中長期の視点に
立った雇用管理施策が重要になってまいります。
そこで、今回は、次のような情報を提供したいと思います。
平成 25 年申告事案の概要について(東京労働局発表)
去る 4 月 4 日に東京労働局が「平成 25 年申告事案の概要について」を発表しました。
主な内容は次の通りです。
*「申告」とは、労働者から労働基準監督機関に違反事実の通告がなされたことです
①申告受理件数は、過去 10 年で最少
件数は 5,051 件(前年比 ▲592 件 ▲10.5%)
(過去 10 年で最大は平成 21 年の 7,463 件)
②申告事案の内容
賃金不払 4,210 件(前年比 ▲533 件 ▲11.2%)
解 雇 830 件(前年比 ▲ 93 件 ▲10.1%)
この 2 件で全体の 90%を占めています。
その他では、労働条件が明示されなかった、就業規則が周知されていない、時間給が
最低賃金を下回っていた 等々です。
③業種別件数
商業 1,232 件 接客・娯楽業 1,031 件 その他の事業 938 件
賃金不払い事案が大幅に減少したのは、ここ 10 数年、行政が継続的に臨検や是正指導
等を行ってきた結果だと思います。
社会保険法改正(平成26年4月1日施行)
主な改正内容は次の通りです。
産前産後休業期間中の社会保険料(労使負担分)が申出により免除になります。
今年の 4 月 1 日以後の産前休業、もしくは、4 月 30 日以後に産後休業が終了する
社会保険の被保険者が対象となります。
免除される期間は、産前休業を開始した日の属する月から産後休業が終了する日の
翌日の属する月の前月までです。
*産前産後休業期間中に「産前産後休業取得者申出書」を必ず提出して下さい。
(この期間に提出しない場合は、免除措置を受けることができません)
平成 26 年度東京労働局行政運営方 26 年度東京労働局行政運営方針の概要
東京労働局が発表した「平成 26 年度行政運営方針の概要」をご紹介します。
3つの最重点目標及び主な対策
①ハローワークが中心となって労働市場全体のマッチング機能の強化に努めます
・若年者の就職活動から職場定着までの一貫した支援の実施
・企業の雇用管理の改善を図り、高齢者、障害者及び非正規雇用労働者の雇用を促進
(障害者雇用については、中小企業にも重点を置いた効果的な雇用率達成指導を展開)
②安心で希望が持てる職場を目指し、労働条件確保改善、労働災害防止等に取り組みます
・長時間労働の抑制、過重労働による健康障害の防止、賃金不払残業の解消を図る
(労働条件の書面による明示の徹底、就業規則の作成・届出、記載内容の適正化や
労働者に対する周知の徹底等)
・「Safe Work TOKYO」をキャッチフレーズに、第 12 次東京労働局労働災害防止計画
を推進し、労働者の安全と健康の確保に努めます
(重点とする業種別対策及び災害の形態別対策の推進、メンタルヘルス対策、産業医、
衛生管理者の職務を適切に行わせ、衛生委員会の機能化 等々)
③女性が能力を発揮し、男女とも育児等と両立しつつ活躍できる職場環境をつくります
・男女雇用機会均等法の実効性を確保し、女性の活躍のための採用拡大、人材育成等
企業によるポジティブアクションの取り組みを促す
・妊娠・出産、育児休業を理由とした不利益取扱い等に係る相談に、的確かつ厳正に
対応し、男性や非正規労働者も含め、育児休業等を取得しやすい職場環境を作る
・パートタイム労働者と正社員との均等・均衡待遇の確保等を図る
その他で、雇用保険の適用範囲の拡大を受け、派遣業やパートタイム労働者等を多く
抱える業種に重点を置いた効果的な労働保険の算定基礎調査を実施するとしています。
つぶやき
昨年度、弊社に寄せられたお問い合わせ等で気になった点についてご案内したいと
思います。
一つは、企業内において、コミュニケーションギャップに起因したトラブルが増加して
います。特にメールによる業務指示や結果報告が日常的になる中、時には、面と向かって
相手の表情や考え等を確認するということがおろそかになってトラブルになるケースが
目立ってきております。
二つめは、新規人材の確保が難しい(採用媒体を利用しても応募人数が少ない)という
中で退職者を少なくし、企業への参加意欲を高めるリテンション活動に力を入れていない
と思われるケースが散見されます。労働者人口が減少して中、優秀な人材の流出を防止、
また、確保する施策が重要になってまいります。
このような社会情勢の中、やはり、今も昔も重要なことは、良好な人間関係、互いの
信頼関係の構築だと思います。
今年、雇用に関する法律で改正もしくは改正される可能性が極めて高いものは、次の通り
です。
①社会保険法 ②雇用保険法 ③男女雇用機会均等法 ④労働安全衛生法
⑤パートタイム労働法 ⑥次世代育成支援対策推進法 ⑦労働契約法
⑧労働者派遣法
雇用に関する施策、運用体制の構築等で何か困っていることがございましたら、遠慮なく、
弊社コンサルタントにお声掛けください。
雇用に関する健康診断(労務監査、内部監査)、従業員意識調査、社内教育の企画及び
実施、安全衛生管理体制の構築、外部の従業員相談窓口、人事制度及び考課制度の整備・
改定、考課者訓練、行政臨検対応、紛争解決サポート、労働保険・社会保険事務手続きの
代行業務 等々、対応いたします。
最後に
今開催中の通常国会において、雇用に関する多くの改正法案が成立する見通しです。
そこで、これらの改正法の内容は勿論のこと、今後、企業が留意すべき点や運用上の
ポイントは何か、また、行政から発表される各種統計データをもとに今後、雇用管理で
注意すべき点等について、弊社では、6 月から 10 月にかけて研修を開催する予定です。
後日、研修のご案内をお送りいたしますので奮ってご参加いただければ幸いです。

