吉田労務通信vol.18

新年度は、アベノミクス効果により、株高、円安で上々の幕開けでスタートしました。
また、黒田氏が日銀総裁に就任し、デフレ脱却に真正面から取り組むという所信表明を
行いましたので期待したいと思います。経済が活性化し、その利益が労働者の賃金に反映
するまでには1,2年はかかるので持続的な成長が実現されることを切に希望したいです。
さて、今年度も昨年度に引き続き、雇用管理に関し重要な意味をもつ一年になりそうです。
それは、安倍内閣から、実現するかどうかはともかく次のようなメッセージが出されてい
ます。
一つは、今年10月の経済状況をもって消費税を増税するかどうかの判断をするという
ことです。消費税が増税ということになれば、パートタイマー等の社会保険の加入要件緩
和がなされます。これに関連し、共通番号(マイナンバー)制の法案審議が始まりました。
二つめは、解雇自由化です。安倍首相は、今回は断念しましたが、参院選が終われば
本格的に論議される可能性があります。
三つめも、以前、国会で議論されたホワイトカラーエグゼンプションの論議が「産業
競争力会議」でなされています。
これらのことを踏まえると、今年度あるいは次年度も雇用に関する重要な法改正等が
なされるのではないかと思います。
当然、企業も目先の対応だけではなく、中長期の視点に立った雇用管理施策が重要に
なってまいります。
そこで、今回は、次のような情報を提供したいと思います。

障害者雇用

労働政策審議会 障害者雇用分科会において、障害者雇用促進法及び関連の省令要綱等の
審議がなされています。主な審議内容は次の通りです。
①精神障害者に対する差別(直接・間接)の禁止(平成28年4月1日施行予定)
・労働者の募集、採用について、障害者に対し、健常者と均等な機会を与えること
・賃金、教育訓練等、障害者であることを理由に健常者と不当な差別的取り扱いを
してはならない
②合理的配慮の提供(平成28年4月1日施行予定)
・職場における合理的配慮を事業主に義務付け
・企業内で障害者からの相談に応じる体制の仕組みを確保 等
③紛争調整解決手続き(平成28年4月1日施行予定)
・紛争が生じた場合には、まず企業内で自主的な解決を図る
・第三者による紛争解決手続きとして紛争調整委員会制度を活用した仕組みの創設
・厚生労働大臣による、助言・指導・勧告規定の創設
障害者雇用
④精神障害者を含む障害者雇用率の設定(平成30年4月1日施行予定)
現状の身体障害者、知的障害者に、新たに精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の
交付を受けている者)を加えて、障害者雇用率を設定するとしている。
ポイントとしては、
・今年4月から法定雇用率が 1.8%⇒2.0%に 0.2%引き上げられましたが、更に引き
上げられる可能性が高いです。
・精神障害者の雇用人数が別枠で設けられた場合には、その受け入れ体制を整える
必要があります。
この法改正が成立すれば、障害者雇用の在り方も大きく変わります。
企業は、今後、障害者、高齢者を含めた雇用管理をどのように行うのかを中長期的に
検討する必要があります。

東京労働局発表 「労働時間適正化キャンペーン」の実施結果

東京労働局が、昨年 11 月に実施した「労働時間適正化キャンペーン」の結果が発表に
なりました。
定期監督件数:265 件(内、従業員数 50 人未満の事業所が約 60%)
1)労働時間適正把握基準に係る指導票交付件数 61 件(23%)
“始業、終業時刻の確認および記録が十分でない”が 37 件と最も多かった。
自己申告制を採用している 94 事業場のうちの過半数を超える事業場に問題点
が認められた。
2)36 協定に係る状況
100 件(37.7%)が届出なし
3)賃金不払い残業の有無
違反 81 件(30.5%)
4)長時間労働
時間外労働が 80 時間を超える長時間労働の実績がある事業場は 47 件(17.7%)

労働保険料等の口座振替制度

労働保険料の納付に関して、口座振替制度があるのを御存じない方が多いので、今回
ご紹介します。
申込みは、「労働保険 保険料等口座振替納付書送付(変更)依頼書兼口座振替依頼書」
を金融機関に行います。
口座振替制度で何が変わるかといえば、
①労働保険料の納付日が第 1 期分は約 2 か月、第 2 期、第 3 期分は 2 週間遅くなります
労働保険料等の口座振替制度
東京労働局発表 「労働時間適正化キャンペーン」の実施結果
②年度更新の申告書は労働基準監督署に郵送または窓口で提出になります
(金融機関への提出はできません)
*今年の雇用保険料率は昨年と同様です。
一般の事業は、労働者負担 5/1000、事業主負担 8.5/1000 計 13.5/1000

つぶやき

最近、弊社に寄せられた相談内容やトラブル対応を分析していた所、興味深い動向が
見られましたので、ご紹介したいと思います。
一つは、企業内においても世代間(コミュニケーション)ギャップに起因したトラブル
が増えてきています。職場内での業務指示や運用変更等に際して、具体的な背景の説明が
ないために部下が不満を抱え、時間の経過とともに、その不満が表面化してしまった。
二つめは、今日のような高度な情報社会においては、自分自身の権利、地位を守るために
証拠能力は別にして、会話や電話の通話内容をボイスレコーダーに記録する事案が増加して
おります。上司は、そのような認識を持っていないためか、ハラスメントになるような言動
が目立ちます。
三つめは、メンタル不調者が増加していることです。ハラスメント、退職強要等の事案
を根拠にメンタル不調になったというケースが目立っております。不謹慎ではありますが
私は、医者が正しい診断をしているのか疑問を持っております。
このような社会情勢の中、やはり、今も昔も重要なことは、良好な人間関係、互いの
信頼関係の構築だと思いました。
最後に
今年 4 月、高年齢者雇用安定法、労働契約法が改正されました。この改正に伴い、
各企業において、社会保険の加入要件緩和等の要素を踏まえた上で、
“これからの賃金制度”をどうするかを検討されていると思います。
そこで、弊社では、6 月に“これからの賃金制度”の研修を開催する予定です。
内容:
今後、5 年先を見据えた上での
①賃金制度を設計する上でのポイント
②継続雇用者の賃金制度について
③一般従業員、障害者、高齢者を含めた一貫性ある賃金制度モデルについて
④その他

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