吉田労務通信vol.60

コロナ感染者の急増に伴い、従業員の方が感染し、急遽、療養のため欠勤するケースが増えております。当然、人員のやりくりの目途が立たないが故に一定期間休業する告知が貼られた店舗も散見されます。
今月は、裁判の判決ではありませんが、川崎北労働基準監督署が大阪のフジオフードシステムに更衣時間などについて是正勧告した件と 7 月に厚生労働省から発表された「令和 3 年度個別労働紛争解決制度の施行状況」について取り上げます。

1.更衣時間関連
7 月、フジオフードシステム(大阪市)が、川崎北労働基準監督署に是正勧告を受けました。
発端は、同社が経営するカフェで働く従業員の方が、
1)ユニホームに着替える時間が労働時間にカウントされていない
2)事務所から店舗までを行き来する時間が労働時間にカウントされていない
2年間分で約18万円が賃金未払いだとして労働基準監督署に申告していました。
更衣の時間は、厚生労働省のガイドラインにも労働時間とされていますので、当然、労働時間に含めなければなりません。また、今回のケースのように事務所と店舗が離れているような場合、その行き来の時間も労働時間となる可能性が高いということです。
出勤、退勤打刻をどこで行うのが良いかが重要になります。

2.「令和 3 年度個別労働紛争解決制度の施行状況」について
2022 年 7 月 1 日、厚生労働省から「令和 3 年度個別労働紛争解決制度の施行状況」が発表されました。
概要は、
1)総合労働相談件数は、前年比 3.7%減の約 124 万件と、14 年連続で 100 万件を超え、高止まりの状況です。
2)民事上の個別労働紛争における相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全項目で、「いじめ・嫌がらせ」の件数が引き続き最多でした。
・民事上の個別労働紛争の相談件数 86,034 件(前年度比 8.6%増)で 10 年連続最多
・助言・指導の申出は、1,689 件(前年度比 7.8%減)で 9 年連続最多
・あっせんの申請は、1,172 件(前年度比 7.1%減)で 8 年連続最多
一方で、民事上の個別労働紛争における相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全項目で、「解雇」の件数が前年度に比べ減少しました。
・民事上の個別労働紛争の相談件数 33,189 件(前年度比 12.3%減)
・助言・指導の申出は、736 件(前年度比 23.5%減)
・あっせんの申請は、743 件(前年度比 24.4%減)

参考:
令和 2 年労働関係民事通常訴訟事件の新受件数 3,960 件(前年 3,619 件)
令和 2 年労働審判の新受件数 3,907 件(前年 3,665 件)
前年に比べ、件数は増加傾向にあります。裁判で争うということに対しての抵抗感がなくなってきているのでないかと思います。

最後に

労働時間に関する問題が生じた場合は、企業は、次のような多大な金銭等の負担を余儀なくされます。
1)未払い賃金
一人当たりの金額もさることながら、その事業場で働く多くの従業員の方々にも調査等によって把握された未払い賃金を清算することになるからです。
2)健康障害
従業員の方が、長時間労働に伴い、精神疾患等を発症した場合は、安全配慮義務を問われ、慰謝料、損害賠償を請求されることになります。
3)問題が表面化することで、企業としての信頼、ブランドに悪影響を及ぼします。

労務監査では、
労務関係書類や現場での実際の運用等を点検し、現場の現状と照らし合わせ、多面的にリスク分析を行います。
また、労務面だけではなく、人事制度の内容、運用方法、運用状況なども確認します。
その結果として、法に抵触する事項のみならず、現状の運用を改めた方が良い結果を生み出す事項も把握することができます。
また、問題点をどのように改善していくのが良いのかを具体的にご提案いたします。監査は、調査で 2 日、その後、サマリー(結果報告)するまで 10 日程です。2 週間ほどで今の雇用管理の状況がどのようなものかを客観的に把握することができます。
ご質問、ご相談等は、弊社コンサルタントにお申し付けください。

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