吉田労務通信vol.59
今月は、改正高年齢者雇用安定法に関して、ネット上でも誤解が多い2025年4月から施行される65歳までの雇用確保の義務及び70歳までの就業確保について解説いたします。
1.65歳までの雇用確保の義務
定年を65歳未満で定めている企業(例えば60歳)は、定年を65歳に引き上げなければならないわけではありません。
65歳までの継続雇用制度を導入している企業で、かつ、平成24年の経過措置で労使協定により制度適用対象者の基準を定めていた場合には、その基準を適用できる年齢を2025年3月31日までに段階的に引き上げ、2025年4月1日からは65歳と
しなければなりません。
よって、2025年4月1日からは、制度適用の基準を設けていた労使協定は終了し、継続雇用制度の適用を希望する者を65歳まで継続雇用しなければならなくなります。
ただし、多くの企業は、定年を65歳へ引き上げ、65歳までの継続雇用制度を導入しているので影響はないかと思います。
2.令和3年(2021年)4月から改正高年齢者雇用安定法が施行されました。
70歳までの就業確保(努力義務)
<対象となる事業主>
・定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
・65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主
<対象となる措置>
次のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるよう努める必要があります。
① 70歳までの定年引上げ
② 定年制の廃止
③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
④、⑤については過半数労働組合等の同意を得た上で、措置を導入する必要があります。
<その他>
上記④、⑤における創業支援等措置、③の継続雇用の場合の留意事項や必要な措置が発表になりました。
一定の要件に該当し、本人が再就職を希望する場合の再就職援助措置等の対象が65歳以上70歳未満の者にも講じるよう努めることとなりました。
他には、一定の要件に該当した高年齢者が同一の事業所において1か月以内に5人以上の高年齢者等が解雇等により離職する場合は、多数離職届をハローワークに届け出なければならないことなどが追加になりました。
最後に
最近、店長をはじめとする事業所の長の方で、定年に近づく方が増えてきています。
そこで、次のようなアドバイスを度々求められます。
・加齢等に伴い店長としての職務が果たせていない、かつ、日々の仕事ぶりがルーティン化して、店舗もしくは事業所で働く方々のエンゲージメント、モチベーションなどが低下して困っている
・店舗や事業所が増えない中で、定年近くの店長などが増え、若手の昇進の機会がなく、中堅層の離職要因となっている
など
このようなことが現場で散見されるようであれば、一度、人事制度を見直すサインではないかと思います。
例えば、本来の店長や事業所の長の職責とはどのようなものか、職責を果たせない者の処遇をどのようにするのか、人材の活性化のために必要な制度の検討など
労務監査では、
労務関係書類や現場での実際の運用等を点検し、現場の現状と照らし合わせ、多面的にリスク分析を行います。
また、労務面だけではなく、人事制度の内容、運用方法、運用状況なども確認します。その結果として、法に抵触する事項のみならず、現状の運用を改めた方が良い結果を生み出す事項も把握することができます。
また、問題点をどのように改善していくのが良いのかを具体的にご提案いたします。
監査は、調査で 2 日、その後、サマリー(結果報告)するまで 10 日程です。
2 週間ほどで今の雇用管理の状況がどのようなものかを客観的に把握することができます。
今後、労務監査の有用性について、事例を交えてご案内いたします。
ご質問、ご相談等は、弊社コンサルタントにお申し付けください。

