吉田労務通信vol.55

新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がようやく解除され、年末年始には日常の生活に戻れるかと思っていた所、オミクロン株がじわじわと感染を拡大してきているのが気がかりな今日この頃です。
さて、臨時国会が 12 月 6 日から 21 日までの会期で開催されておりますが、有効なコロナ対策の他、疲弊している雇用環境をもとに戻す、そして、所得が増えるような施策を期待したいです。
今月は、既に施行されている留意したい改正法を取り上げます。

「年次有給休暇の 5 日間取得」

2019 年 4 月 1 日施行された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」
概 要:
・年次有給休暇が 10 日以上付与される労働者が対象です。
・使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日から一年以内に 5 日について取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。
・使用者は、時季指定にあたっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。
ただし、既に 5 日以上の年次有給休暇を取得している労働者には、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。
・使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3 年間保存しなければなりません(基準日、取得日数、取得した日)。
・使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。

罰 則:
・年 5 日の年次有給休暇を取得させなかった場合、対象労働者一人につき 30 万円以下の罰金
・使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合、30 万円以下の罰金
・労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合、対象労働者一人につき 30 万円以下の罰金、または、6か月以下の懲役

最近の動向:
今年 7 月、愛知県の給食管理業の会社が年次有給休暇取得義務化の対応をしておらず、店長 3 名が書類送検されました。

事案の概要:
労働者 6 名に対して年次有給休暇取得の時季指定を怠ったとして、会社と各事業場の責任者である店長を労働基準法第 39 条違反の疑いで津島労働基準監督署が書類送検を行った。
その他、顧問先からも、労働基準監督署による年次有給休暇の 5 日間取得義務化に関連した定期調査が行われましたという連絡が散見されます。

「副業・兼業」

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」平成 30 年 1 月策定(令和 2 年 9 月改定)
令和 2 年 9 月 1 日に公表され、同日付で同じ内容の通達(令和 2 年 9 月 1 日基発 0901第 3 号)が発出されていますので監督行政上は令和 2 年 9 月 1 日から適用が開始されており、既に運用が始まっています。

今回の改定のポイント:
1)副業・兼業先での労働時間通算は維持する
→副業・兼業先での労働時間も通算する必要がある
2)通算した結果の法的責任は後から「労働契約を締結した使用者が負う」
→36 協定での限度時間、割増賃金等の法的責任を負う
3)労働時間が通算されるのは「労働時間規制の適用を受ける労働者」の副業・兼業
→労基法上で労働者でない個人事業主など、労基法上の労働者ではあるが、労働時間規制のない管理監督者、高プロ制度適用者等
4)労働時間の把握方法は自己申告のみで足りる。労働者が申告漏れ等をした場合には企業に責任はない
5)実労働時間に基づく管理を不要とするモデルを提示

副業・兼業に対応するためのポイント
裁判例においては、原則として副業・兼業を禁止又は制限することはできないとされています。例外的に、これを禁止又は制限することができるのは、
1)副業・兼業により労務提供上の支障が生じる場合
2)業務上の秘密が漏洩する場合
3)競業により自社の利益が害される場合
4)自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合に限られています。

申告・許可制度の整備
1)就業規則等に、副業・兼業の申告・許可制度を明示する。
2)あらかじめ申告させる事項を決める。
副業・兼業先の事業内容、従事する業務内容、労働時間の通算の対象となるか否かの確認、労働契約の締結日、契約期間、所定労働日等)

情報漏洩リスク対応
労働契約書や就業規則等で「企業秘密」の範囲を明確にする、誓約書を提出させ、企業秘密について明確に認識させる

労働者から副業・兼業の申出を受けた際に、適切な対応ができず、労働者が行政に相談をした場合などは、都道府県労働局から是正指導を受けるケースが散見されます。今一度の点検をお勧めいたします。

最後に

今年も新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置で多くの規制の中での大変困難な雇用管理を強いられた一年だったと思います。
皆様からの温かいご愛顧賜り、無事一年を締めくくることができそうです。本当にありがとうございました。
最後に、皆様、良い年を迎えられますようご祈願いたします。
以上

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