吉田労務通信vol.51
新型コロナウイルス感染の状況も改善が見られない中、GO TO キャンペーンに東京が追加され、かつ、GO TO イートのキャンペーンもスタートするなど、経済回復に向けた取り組みも活発になってきました。さて、そのような中、コロナ感染の他、インフルエンザが流行する時期が近づいてきました。
そこで、今月は、コロナ感染、インフルエンザ感染に伴う休業手当をメインに取り上げます。
1.病者の就業禁止の根拠となる法律
〇労働者安全衛生法 第 68 条
事業者は、伝染病の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかった労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、就業を禁止しなければならない。
〇労働安全衛生規則 第 61 条
事業者は、次の各号のいずれかに該当する者ついては、その就業を禁止しなければならない。ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りではない。
一 病毒伝ぱのおそれのある伝染病の疾病にかかった者
二 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく憎悪するおそれのあるものにかかった者
三 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者
2 事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない。
〇感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第 18 条
都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る第十二条第一項の規定による届出を受けた場合において、当該感染症のまん延を防止するために必要があると認めるときは、当該者又はその保護者に対し、当該届出の内容その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知することができる。
2 前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。
*一類感染症 エボラ出血熱、ペスト等
二類感染症 結核、ジフテリア、特定鳥インフルエンザ等
新型コロナウイルス感染症は二類感染症相当
三類感染症 コレラ、腸チフス等
四類感染症 狂犬病、マラリア等
五類感染症 梅毒、麻しん、季節性のインフルエンザ等
感染予防法において、都道府県知事より就業制限の通知を受けた場合は、国や地方公共団体の命令で就業が制限されることになるので、労基法第 26 条の休業手当を支払う必要がありません。
2.休業手当
1)コロナ感染者
指定感染症である新型コロナウイルスに感染した場合は、就業等も当然に制限され、賃金の支給、休業手当の支給もありません(治療費等は、行政負担)。咳や発熱等の症状が出ている濃厚接触者は、当然、通常勤務できる状態ではないので自ら欠勤等を申し出るので賃金等を支払わなくても問題ないと思います。
しかし、症状が出ていない濃厚接触者は、判定が出るまでは、通常に勤務できる状態にあるのに一律に賃金を支給しないということでは問題があります。なお、職場で勤務させるということであれば、他の従業員にも伝ぱさせるおそれがあるので問題があります。在宅での勤務で対応、もしくは、在宅での勤務が難しいようであれば、休業手当を支給するという対応が必要になります。
2)季節性のインフルエンザ
季節性のインフルエンザにかかった者を就業禁止にする法的な根拠がありません。よって、会社の判断で休ませることになるので、労基法第 26 条の休業手当を支払う必要があります。
インフルエンザにかかった者を一律に就業禁止にすればトラブルになりますので注意してください。
インフルエンザにかかった者を職場で勤務させた結果、他の従業員に伝ぱしたりすれば安全配慮の観点からも責任を負うことになりますので、よく話し合って対応することが必要です。
何か不明な点や質問等ございましたら、弊社のコンサルタントにお申し付けください。
以上

