吉田労務通信vol.35

臨時予算や労働基準法改正法案等を審議する予定の臨時国会が始まると思っていた矢先、
衆議院の解散が発表されました。
また、首相は、記者会見で消費税は予定通り 10%に引き上げると明言し、その引き上げ
分の 2%についての使い道は幼児、保育の無償化に回すとしました。言うことが、短期間に
二転三転し、この国の将来は大丈夫かと不安を覚えます。
厚生労働省では、早くも 2018 年度からスタートする「第 13 次労働災害防止計画」に
向けた論点について検討をはじめました。その中で、来年 3 月に終了する第 12 次労働災害
防止計画の目標数値に対する達成度合いは業種によって、大きく未達であった項目がいくつ
か見受けられます。今回は、この論点について確認します。

第 13 次労働災害防止計画に向けた論点

1.現状の概要
1)死亡事故は着実に減少しているが、一部の業種・事故型別では大きな改善がみられ
ない
2)過労死等は約 700 から 800 人/年であるが、減少傾向はみられない
3)50 歳以上の雇用者の割合が上昇する中、転倒災害等が増加しており、高齢化に
対する対策の強化が必要となっている
4)働き方の変化や高齢化の進行に伴い、傷病を抱える労働者等の健康確保対策のあり
方が課題となっている
5)職場において取り扱う化学物質の種類が増加する中、新たな化学物質による健康
障害事案が発生している
6)東電福島第一原発においては、1 日当たり約 5,500 人の労働者が廃炉に向けた作業
に従事している
2.論点
1)計画の柱について
①死亡災害の撲滅を目指した対策の推進
②過労死等の防止等、労働者の健康確保対策の推進
③就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進
④傷病を抱える労働者等の健康確保対策の推進
⑤化学物質等による健康障害の防止対策の推進
⑥企業・業界単位での安全衛生の取組の強化
⑦安全衛生管理組織の強化及び人材育成の推進
⑧国民全体の安全・健康意識の高揚等
第 13 次労働災害防止計画に向けた論点 次労働災害防止計画に向けた論点
2)計画の目標について
①死亡者数及び休業 4 日以上の死傷者数の目標については、第 12 次労働災害防止
計画期間の実績を踏まえた目標設定
②重点業種については、死亡災害を建設業、製造業及び林業、死傷災害を小売業、
社会福祉施設、飲食店及び陸上運送事業に。
また、死傷災害の目標については、業種間の労働移動を考慮し、千人率で設定。
③労働衛生分野の目標については、第 12 次労働災害防止計画期間における目標を
考慮し、メンタルヘルス対策への取組、長時間労働者の削減、化学物質のラベル
表示等、腰痛・熱中症による死傷者数の減少、受動喫煙を受けている労働者の減少
について設定
以上のように、業界・企業を単位にガイドラインの作成、周知啓発、安全衛生教育、
労働安全衛生マネジメントシステムの普及等、更に一歩踏み込んだ施策が検討されて
おります。
参考:第 12 次労働災害防止計画中における労働災害発生状況
平成 24 年 25 年 26 年 27 年 28 年
死亡災害発生状況 1,093 人 1,030 人 1,057 人 972 人 928 人
業種別では、製造業、建設業、陸上貨物運送事業は減少し、林業、港湾貨物運送業は
増加。特に 1,000 延べ実労働時間当たりの延べ労働損失日数の数強度率をみると林業
が高い。林業における立木等による激突されが大幅に増加。
重点業種対策について
建設業:事故の型別では、「墜落・転落」、「交通事故」、「崩落・倒壊」の順。
製造業:業種では、金属製品製造業、食料品製造業。鉄鋼業の順。事故の型別では、
「はさまれ、巻き込まれ」が最も多い。
平成 24 年 25 年 26 年 27 年 28 年
死傷災害発生状況 119,576 人 118,157 人 119,535 人 116,311 人 117,910 人

重点業種対策について
小売業:事故の型別では、「転倒」、「腰痛」、「墜落・転落」の順。年齢階層別では、
50 歳以上が多い
社会福祉施設:事故の型別では、「腰痛」、「転倒」が多く、この二つで 66.2%を占める。
年齢階層別では、50 歳以上多い。
飲食店:事故の型別では、「転倒」、「切れ・こすれ」、「やけど」の順。年齢階層別では
29 歳以下が多い。
陸上貨物運送事業:事故の型別では、「墜落・転落」、「腰痛」、「転倒」の順。年齢階層
別では 40 歳代が多い。
以上

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