吉田労務通信vol.33

今年の通常国会は、森友学園、加計学園問題、共謀罪等に多くの審議時間が割かれ、雇用
に関する法案審議等には時間がかけられなかった結果、労働基準法の改正は継続審議になり、
秋の通常国会以降に先送りになりました。今月号では「平成 28 年度個別労働紛争解決制度
の施行状況」を取り上げます。

「平成 28 年度個別労働紛争解決制度の施行状況」

総合労働相談コーナー等に寄せられた総合労働相談件数は 113 万 741 件で 7 年ぶりに前年比
増(9 万 5805 件増)、過去 2 番目の多さとなり、9 年連続で 100 万件を超えました。
内、民事上の個別労働紛争相談件数は 25 万 5460 件でした。
*総合労働相談で労働基準法等の違反の疑いがあるものは、20 万 7825 件(18.4%)でした。
労働局長による助言・指導では 1 か月以内に処理された件数は 8,800 件(98.7%)でした。
あっせんでは、2か月以内に処理された件数は 4,503 件(88.6%)でした。
*紛争当事者双方のあっせん参加率は 56.8%、あっせんにおける合意率は 39.4%、あっせん
開催による合意率は 66.4%。
相談内容を見てみると、「いじめ・嫌がらせ」が、相談件数、助言・指導の申出件数、あっせん
の申請件数の全てで 3 年連続でトップでした。
平成 28 年労働関係民事通常訴訟事件の新受件数 3,392 件(前年 3,390 件)
平成 28 年労働審判事件の新受件数 3,414 件(前年 3,679 件)
事例で取り上げられた主なものは、次の通りです。
いじめ・嫌がらせ 上司から「のろま」、「お前はつかいものにならん」等の暴言を日常
的に受け、後ろから腰を蹴られ転倒するという暴行を受けた。
上司は、周りに気づかれないようにこのような行為をしている
自己都合退職 仕事がきつい、労働条件が合わない等の思いが強くなり、会社の規程に
基づいて1か月前に退職の意思を伝えた。会社から幾度となく慰留され
たが、当初の退職の意思表示の通り。円満に退職したい
労働条件の引下げ 高齢であることを理由に所定労働日数を週 4 日から 2 日に、1 日当りの
所定労働時間数を 5 時間から 3 時間に一方的に引き下げられた
「平成 28 年度個別労働紛争解決制度の施行状況」 28 年度個別労働紛争解決制度の施行状況」 年度個別労働紛争解決制度の施行状況」
解 雇 試用期間1か月のパート労働者で勤務したが、勤務開始当初から、
体調を崩し、数日間欠勤したところ、勤務開始から 5 日目に体調管理
ができていないとの理由で解雇された
雇止め 派遣労働者として契約締結時、会社側から、有期契約であるが長期間
働いてもらうことになる説明を受け、契約は更新されるとものと考え
ていたが、派遣先との契約が終了したことを理由に雇止めされた

最後に

厚生労働省が、毎月、書類送検された企業名を公表するようになってから、2か月が経過
しました。この間、就職活動をしている学生や今年の新卒の方のアンケート調査等が発表
されました。この結果から、日本での雇用のあり方が変わった、あるいは、大きく変わると
いう思いを強く持ちました。
それは、少子化がさらに進み、今では、有効求人倍率はバブル期よりも高くなり、かつ、
日本全国 47 都道府県で 1 倍を超える状態が数か月続いております。
このような状況下では、働く職場環境等が悪いまま放置している企業と職場環境の改善に
積極的に取り組んでいる会社とでは、明らかに新規人員の確保のみならず、既存の労働者
の方のやる気に大きな差が生じてきます。
ブラック企業として企業名が公表になれば、数年間にわたり、その影響を受けることに
なります。結果として、人員不足が生じ、人員不足が改善できなければ、最悪、事業の継続
ができなくなる事態に陥ります。
これからは、今後数年間を見据え、どのような雇用、職場環境を整備していくのかを
きちんと経営課題に入れ、取り組んでいかざるを得なくなると思います。
厚生労働省も、平成 30 年度には各企業の女性活躍推進の状況の“見える化”を図る予定
です。既存の労働者から“働きやすい職場”、新規の応募者からは“働きたい職場”と思わ
れることを目指すことが、企業の安定的な成長に結びつくのではと思います。
最後に、今年も恒例のセミナーを次のように予定しております(テーマは変更になる
場合もございます)。皆さまのご参加をお待ちしております。
申込書、案内等は、後日お送りさせていただきます。
7 月 一億総活躍の実現について
9 月 働きやすい職場環境作りについて
10 月 多様な働き方について
以上

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